2008年10月4日土曜日

「文学のヘンタイを極める~若手作家の鼎談つき~」の感想

名古屋市西区出身の芥川賞作家諏訪哲史さんによる文学講演と、愛知県出身の作家広小路尚祈さん、墨谷渉さんを交えた文学座談会をが名古屋市西文化小劇場で行われました。

名古屋市西区の図書館の地下3階に、映画館の一室くらいの規模の立派な小劇場があることにまず驚きました。
住宅が密集している都市において、新しい箱モノを作るのではなく、既存の公共施設の地下3階まで掘ってホールを作るという構想は理にかなっていて感心しました。ただ、諏訪さんも講演の中でおっしゃっていたように、火事になったらどうやって逃げようか不安になりました。

さて、作家さんのお人柄にじかに触れる機会というのはなかなかないと思います。今まで作家さんの一般的なイメージは非社交的で、気難しかったり、高尚すぎて近寄りがたかったりというものでした。
しかし、地元出身で今も愛知県に住み続けているという親近感をわかせてくれる若手作家らの文学座談会ときけば、日常生活の延長線上で深い世界をみせてくれそう、という期待が持てました。

「文学のヘンタイを極める」という演題にあるヘンタイとは、諏訪さん曰く、三人の作家に共通する性質であるということです。そして、諏訪さんのめざす「ヘンタイを極める」とは、一般的なノーマル、アブノーマルという二項対立をさらに乗り越えたものだというのです。

一般的なノーマル対アブノーマルの二項対立とは、芸術、哲学、文学の分野でそれぞれ、古典主義対マニエリスム(バロックともいわれる)、アポロン的対ディオニュソス的、自然主義対浪漫主義、と表わされるもので、
ノーマルが世界を覆い尽くすと、アブノーマルの方向に向かう衝動が生まれる
という図式が成り立つそうです。

しかし、アブノーマルといえども、ちゃんと芸術、哲学、文学という枠内に収まっているものであり、それをもっと超えた新しいもの=ヘンタイを創りたいのだ、と語られました。

文学にもイノベーションの動きがあるのだと思いました。既成概念を崩すというよりは、超えてしまったものを世の中に発信していくことが求められているのかもしれません。

面白かったのは、不動産会社にお勤めの、いかにも普通のやさしいサラリーマン風の墨谷渉さんが、アブノーマル度が高い作品を描き、ヘヴィメタルに始まりパンクミュージックの世界を愛し、色々な職業を経験されてきた長髪の広小路さんが純文学風の作品を描かれているということです。

実生活で仮面を被っている部分を創作活動で爆発させることで、バランスを取っているというお話もありました。

また、この座談会の途中で、広小路さんによるギター、墨谷さんによる歌の音楽セッション付で、パンク系とサラリーマンのコラボという、組み合わせの面白さをみせていただきました。

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