2008年11月9日日曜日

豪華教師陣による「ベストセラーの綴り方教室」

「ベストセラー」を出し続ける作家は、どんな努力をしているのか、日々何を観察して過ごしているのかを知りたく、文化戦略会議11月8日(土曜)の3時間目に参加しました。

講師は、
作詞家の秋元康さん
女流作家の林真理子さん
時代小説家の山本一力さん
食のガイド作家山本益博さん
ハードボイルド作家の大沢在昌さん

という異なった分野のヒットメーカーの皆さんが、ベストセラーについて語ってくださいました。

まず、作詞家の秋元氏は「今流行っているものとは逆のもの、皆がやっていないところを狙う」「ヒットは2割ぐらいである。うまくいかないのが8割」「あの〇〇、といわれるような強烈なキーワードが必要」という名言を残されました。

プロデューサーとしてのお仕事は、資金や巻き込まれる人の数も多く、「ヒットしなければならない責任」が伴うため、どうしても「ヒットを狙う」という商業的な視点は外せないそうです。マーケッティング的な要素もあると思いますが、やはり、秋元さんの感覚がヒットを生んでいることは間違いなく、秋元さんの普段の生活(何を読んで、観て、どう感じているか)について、もっとお話が聞きたかったです。

林真理子さんもエッセイ「ルンルンを買っておうちに帰ろう」がヒットした時は、あえてヒットを狙ったそうです。当時書店の本棚にならぶエッセイは、外国や女性の素敵な暮らし方といったおしゃれなものが多かったので、もっとどろどろした女の本音を書けば売れる、という、真逆をいく作戦をとったそうなのです。

人がやっていないことをやる、というのは、ブルーオーシャン戦略とも呼ばれ、競合がない市場を自分で作り出す手法ですが、そのジャンルを打ち立てるのが「感覚・感性・先読み力」だと思います。しかし、ベストセラー作家が特殊な感覚の持ち主かというとそうではなく、観察力や吸収力、たゆまざる努力、そして消費者と同じ普通の感覚がなければならないと思います。

山本益博さんは、20代に落語の寄席や飲食店巡り、西洋諸国の食べ歩きを精力的にこなされた結果、当時まだメジャーではなかったグルメガイドを出して大ヒットされたそうです。大学時代の下宿先の大家さんが文筆家だったため、落語について評論した山本さんの文章を赤ペンでぎっしり指導してもらったおかげで文章力が鍛えられた、というエピソードも披露されました。おかげで山本さんは言葉にも敏感で、グルメ本の中で「究極」とか「絶品」という言葉を絶対に使わないそうです。山本益博さんから学べたのは、フットワークの軽さ、圧倒的な範囲をカバーする探究心、文章力を磨くための指導の重要性です。

山本一力さんは49歳にして作家デビューをされるまで、ツアーガイド、広告代理店、商社などの職を経験され、働く人として、悔しい思いや苦しさもたくさん味わってきたことが、小説を書く糧になっているそうです。山本さんは、言葉を一つ一つしっかりと選び、伝えよう、という姿勢が伝わってくるお話で、職人的気質を感じました。山本さんは、仕事の経験にとどまらない、「自分への投資が大切」と述べられました。本を読む、映画を見る、落語を見ることを自分の金を払ってしてきたら、どういうものが面白いかわかるようになるのです。山本一力さんが物語を面白くするポイントには、主人公の職業選びにあるそうです。
仕事が変われば付き合う人も変わる、取り巻く環境、人間関係の面白さを描けるのは、山本さんの職業経験があったからこそなのだと思います。どんな経験にも無駄がない、ということです。しかし、注意力、観察力がなければ、言語化し、面白い物語は書けないと思います。もっと山本さんの視点についてもお伺いしたかったです。また、山本さんの、「自分の器が小さいと、その大きさでしか判断出来ない」「自分の器の小ささを知らないと、相手をなめてかかることになる」という言葉が非常に印象的でした。

山本さんは色々な作品を鑑賞した結果、映画「ジャッカルの日」が基準点となり、その基準を元に面白いか、面白くないかの判断をしているそうです。チャージの量を増やし、器を広げ、基準を持つことが世の中を観察し、判断する上で大切な習慣になるのです。

ハードボイルド作家の大沢在昌さんは、23歳で作家デビューされ、小説家という職業以外は経験していないという、山本さんとは違った立場の視点で話されました。「新宿鮫」がヒットするまで、どんなに丹精込めても、売れると思ってもさっぱりな状態が続いたそうです。「新宿鮫」のヒットはずばり、口コミであったと分析されています。書評や宣伝なんて影響力がほとんどない、「面白かったよ」という知人の薦めで「買う」という行為につながるのです。「なにがヒットにつながるかは、作者としては、全く予想できないから、出し続けていれば、たまたま世の中とクロスすることがある。だから世の中の流れをおいかけてもしょうがない」ということでした。東野圭吾さんの「ガリレオ」のキャラクターもずいぶん前に考案されていたのに最近になって取り上げられたことを例に挙げられていました。とにかく出しつづける、ヒットはなかなか出るものではないことを念頭に、書くことも大切です。粘り勝ち、ということでしょうか。

大沢さんは、ルックスがかっこよく、ハードボイルド系というよりは、さわやかで面白いお人柄でした。会場の方は、すっかり魅了されており、ハードカバーの上下刊を購入されていた女性が幾人かいらっしゃいました。石田衣良さんのように、ビジュアル効果ももっともっと前に出していったら、大沢さんファンの人が増えると思います。私は、ハードボイルドは全く読んだことがありませんが、器を広げるために、読んでみたいと思いました。

最後に、秋元さんが、カリスマ店員がポップを書くと売れる、というお話を福岡県のCDショップを例に挙げて話されましたが、これは、経済評論家の勝間和代さんが御著書の中で言われている、「一部の目利きに」取り上げてもらうことが、火がつくきっかけになる理論と同じだと思いました。

世間から評価されるものをつくるためには、日々、器を大きくしたいと思いました。

実行プラン①いいアウトプットをするには、日々の経験すべてが糧である。真剣に生きよう。
実行プラン②人のやっていないところを一生懸命探そう。
実行プラン③秋元さんの「象の背中」、山本一力さんの「あかね空」、大沢在昌さんの「新宿鮫」を読む。
実行プラン④映画「ジャッカルの日」を見る。一流を知り、自分の器を広げよう。
実行プラン⑤「あの〇〇」と覚えてもらえるようなキーワード、コンセプトのあるアウトプットをする。
実行プラン⑥文章を添削してもらおう。

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