2008年11月21日金曜日

サイエンスカフェが街にやってくる~光を分解するとは?~

サイエンスといっても、高校時代に、生物の授業が楽しかったという記憶があるくらいで、それ以降は理系の分野からは完全に遠ざかっていました。どうして小中高と5教科満遍なく学んできたのに、大学では、文系理系に分かれてしまうのでしょう。少し寂しい気もしましたが、最近は、理系の教授が街のカフェにやってきて、授業をしてくれます。文系人間が大人になっても、理科の楽しさに戻れるチャンスが身近にあるわけです。

サイエンスカフェは、主に大学が主催をしているようです。教授が研究室から飛び出して、街のカフェで市民にわかりやすい話をしてくれる場です。サイエンスというと、科学に限定されたイメージを持ちがちですが、社会学、西洋文学など、文系科目でも催されているようです。しかし、やはり、「難解で、堅苦しそうな」理系の分野の方がカフェという柔らかい場を借りてイメージアップをすることで、理系離れを防ぐ効果も期待できますし、ますます難解なテーマを持ち込んでもらいたいと思います。

本を読んで語り合うのは友人同士でもできますが、実験道具を持ち込むのは、きちんとした主催者がいないとできませんから、貴重な場でもあります。
私が理系から遠ざかって一番困ったのは、英検の文章問題に物理や化学の話が出てきたときでした。科学のイメージをつかめていたら、きっともうすこし肩の力を抜いて読解できたのではないか、と自分の理科系の疎さを反省していました。そんな折に出会ったサイエンスカフェは、新しい視野・視点を獲得するのに大変ふさわしい場所だと思っています。

参加費も安く、私の住む地域で催されるサイエンスカフェは、ケーキとお茶がついて1000円以下のものがほとんどです。喫茶店でお茶を飲むのと変わらない出費で、科学者の話を聞いたり、実験をしたりできるのです。高校生や、本当は理系が好きだった文科系の人も、気楽に参加できます。

さて、今日参加してきたサイエンスカフェは、名古屋市立大学の分子分光学専門の渡邉 凖准教授による、

分光計測で何がわかるか ~光を色、時間、方向で分ける~

場所:7th cafe( 名古屋市中区栄 3-18-1 ナディアパーク 7 階)
実費 (600円 : コーヒー/紅茶+ケーキ)
でした。

分光学的計測とは、光を色(波長または波数)、時間(強度の時間変化)、方向(偏光方向)で分けて(分光して)測定することです。それぞれの場合について簡単な演示実験を交えて原理を説明し、どのような情報が得られるのかお話しようと思います。簡易分光器や偏光板を使って、黒い(光が無い)ということに関する科学手品も披露します」

上記の案内文を読むと、そもそも光とは何か、光をどうやって分解するのか、光を分解すると何がわかるのか、という疑問にぶち当たります。私は何の予備知識も持たずに参加しました。

受付で、ボール紙で作った実験道具を渡され、ライトのキーホールダーをもらいました。なんだかこれだけで、子ども時代に学研の科学と学習のおまけに没頭していたことを思い出し、頭がやわらかくなったような感じです。北欧風のおしゃれなデザインの星形ライトがいくつもぶらさがったカフェは、ソファーやデザイン性のある家具がざっくばらんに配置してあります。会費を払って、ケーキと紅茶かコーヒーをいただき、スクリーンの近くのソファに腰掛けました。シナモンのケーキがとても美味しく、このケーキのためにまた来たくなるほどでした。

さて、光というと、光ファイバーとか、何億光年とか、「ものすごく速く届く」とか「明るい」という言葉が思い浮かびますが、理科系の学問は光で何を知ろうとしているのでしょう。奥が深いというより、自分がいかに身近なものを表面的にしか知らないかに驚いてしまいます。今まで何も真実を見ていなかったに等しいにかもしれません。wikipediaによれば、

光(ひかり)は、電磁波の一種。おもに可視光線のことだが、赤外線紫外線を含めていうことも多い。 光は波動粒子の二重性をもち、波動であることを強調する場合は光波、粒子であることを強調する場合は光子と呼ばれる。 光源や観測者の速度にかかわらず「相対速度が変化しない」という特徴を持つ。
光は、「電磁波の一種」というところから自分の概念を超えています。電球とか通信の光なら理解可能ですが、虹とか太陽などの自然光と認識しているものも、電磁波なのでしょうか。定義を知るというのは、勝手な思い込みを捨て、正確な概念を構築するのに欠かせないプロセスだと思いますので、まずは、定義をしっかり意識しつつ、本日のカフェ談義を少しおさらいしてみたいと思います。

まず、「人間の眼はだまされやすいので、物理的にどんな光が来ているか、装置で客観的に観測するのです。」と、教授が話し始められた時、「人間の眼には見えないものが沢山あるんだなあ、危険な物質もあるし、怖い。」という感想を持ちました。文科系で言うと、目に見えないものと言えば「心理」でしょうか。脳内物質や汗の分泌で、ある程度数値化が可能かもしれませんが、なんとも曖昧な世界です。物理の世界は真実がそこにあるので、探究していけば必ず答えがあるように思います。しかし、それを探し出す条件設定や手段を無数に繰り返さなくてはならないような気がして、気が遠くなります。どんなことでもあいまいなままにしておくほうが安心だった私は、頭を使い切らない、単なる頭脳の怠け者だったのではないかと思えてきます。

受付で渡されたボール紙に小さな穴がいくつも空いていて、小さな窓からのぞく仕掛けになっている実験道具は、回折格子により光を分ける装置の簡易版でした。蛍光灯の方を向けてのぞくと、小さな穴の近くに緑、青、赤などの光が縦に見えます。確かに光が色に分解されていました。例えば、CDの裏側に光を当てたときに虹色に輝いて見えるように、本来特定の方向にだけ強く進む光を回折と干渉によって色々な方向に分けるものだそうです。これは、プリズムとはまた違うそうです。また、フィルターを使って光を分ける方法もあるそうです。

元素に特有の光を見るために、色々な物質を燃やす実験もしました。

リチウム・・・リチウム電池でしか馴染みがありませんが、強い赤の火でした。

バリウム・・・レントゲンのときに飲むバリウムなのでしょうか。教授は「花火の緑色」と説明されていました。

銅・・・電車の火花でみられるそうです。

カリウム・・・赤と紫っぽい青。

カルシウム・・・橙色。食べられる光とも思えるような美味しそうで、団らんのような温かい色でした。カルシウムは白いイメージしかなかったので、燃やした時の色は新鮮でした。

そして、最も印象的だったのが、黄色い光を、シェードを通した黄色い光を背景にしてに見ると「黒い炎」になったことです。これは、微妙に周波数が違う同じ色の光を重ねたとき、色が吸収されてしまうという、吸収スペクトルの正体だそうです。これにより太陽の黒点の説明がつくそうです。黒点は太陽の上のゴミでも雲でもなく、周りに比べて周波数が少しだけ違う光を放つ部分だったのですね。

参加者から質問も適宜飛び出し、「それはカミオカンデと同じ仕組みですか?」とか、水銀灯についての質問など、私が全く意識してこなかった世界の話でしたので、参加者の意識の高さもうかがえました。

文化系人間の私にとっては、雰囲気をつかむのが目標でしたので、分光計測の機械のしくみや具体的な測定方法について、明確な理解は出来ていません。しかし、光を分解するといろんな事がわかったり、技術に役立つのだなあ、という印象が持てたことが大きな収穫でした。仕事帰りに科学者のお話がカフェで聴けるなんて、映画よりも非日常でたった2時間で自分のものの見方ががらっと変わりました。

実行プラン①:サイエンスカフェに積極的に出かけよう。
実行プラン②分解すると新しいことが見えてくる。細分化したり、振り分けたり、いろんな事に応用してみよう。

0 件のコメント: