2008年11月9日日曜日

肉体は精神を超えるか?アスリートが語るからだとこころ

「ココロとからだ、どちらが先にくるか」という問いに、アスリートやオペラ歌手の皆さんが答える形で始まった、エンジン01文化戦略会議4時間目。元女子マラソン選手有森裕子さん、俳優の奥田瑛二さん、ハンマー投げ室伏広治選手の父で、息子に日本記録を譲った室伏重信中京大学教授、世界のプリマ・オペラ歌手中丸三千繪さんが参加。スポーツ&音楽ライター玉木正之さんが司会進行役でそれぞれの体験談をもとに、肉体と精神のとらえ方を語られました。

 肉体と精神を比較したとき、「精神」が上にくると思いがちですが、ニーチェは「肉体は20世紀最大の発見」と言っているそうです。自らの肉体の可能性、肉体の存在を意識することは、アスリートたちにとっては日常的なことかもしれません。普段スポーツをせず、今までのように体が自由に動かなくなって初めて「身体」の存在に気付くレベルの私にとって、極限まで身体を酷使するプロの方々のお話は、実体験では得ることのできないものでした。

 室伏さんの体は、現役の選手かとおもわれるぐらい引き締まっており、身体に生命がみなぎっている感じがしました。お話の内容は「ハンマー投げは、考える頭の方が大事」という結論に至りました。

「技術種目は、数え切れないくらいの動きの組み合わせで成り立っている。考えて、その場の条件をとらえて投げるから、精神が身体を動かしている。しかし、時として精神が及ばないレベルの運動ができてしまうことがある。」というお話から、基本は頭で考えているけれども、ひょんなことで自分でもびっくりするような動きができることがあるのだということがわかりました。これは、どんな技術にもいえることかもしれません。熟練してくると、無意識に会心の動きが出来るときがある、そんな感じでしょうか。

室伏さんの技術のあくなき追求の話は、アスリート出なくても学ぶところがありましたいい動きはいったん壊れてしまう。そうするとまた作らなければならない。それの繰り返しである」「スポーツは基本的には考えたことを体で表現するものだ。よって世界一の考え、アイデアを持つと世界一の運動ができる可能性がある」。息子さんの体格が細かったことなど、冷静に分析する姿が非常に冷静で、思慮深さ、探究心も一流の方であることが分かりました。

オペラ歌手の中丸さんは、衰えるときは精神と肉体は一緒に衰えるのだという説を語られました。自分の発声法の限界に気付いた時点で、その発声法をすべて捨てて、完全に新しい訓練、声の出し方に変えられたのだそうです。それが48歳の時。あるレベルを超えたら、目線を変えることが大事で、死ぬまで歌い続けるためには、思い切った決断で体の使い方を変えていかなければならないのですその決断や目線を変える、という意識はもちろん、精神であり、肉体の変革のコントロールは頭がするものであることに気づきます。

有森裕子さんは、股関節脱臼で生まれ、特に運動神経がいいわけでもなく、肉体的には「アスリートの素質あり」として生まれてきたわけではなかったといいます。尊敬していた先生がたまたま顧問だった陸上部に入り、短距離でも800メートルでも一番になれなくて、競技を変えているうちに、ライバルの少ないマラソンにたどりついたそうです。マラソンは好きでも嫌いでもなく、仕事だから走る、それしかできないから走るという極めてクールな姿勢にもかかわらず、非常に強い意志、くらいつく粘り強さだけでやってきたというお話に驚きました。有森さんの場合は、「意志」や「粘り」という精神力の強さがまさに人よりも弱かった身体をひっぱっていっているように思えます。そしてオリンピックでメダルまで取ってしまったとは、世界級の意志があったということに他ならないと思います。

プロの方々がこぞって「頭だ」「意識だ」「意志だ」と精神優位な話を展開されると、肉体は単なる付属物でしかないように思えてきます。

奥田さんは、「身体を鍛えるのは体に良くない」という独自の理論を展開されました。「役者さんが肉体改造ばかりにかまけていると、演技はそっちのけになる。中年になるとマッチョな体に不釣り合いなしわくちゃな顔という不自然さだけが残る」。確かに、役者さんは身体をつかって演じるけれども、身体は道具であって、それそのものを立派に見せる必要はなく、気配や感情に結び付いた動きで人の心をとらえていくものだということだと思います。

最後に、室伏さんの言葉から、印象的なものをひとつ

会心の出来ということはめったにない。出来てもまたその上のことをいつも考える。壁がある。壁を破らないと次の会心は得られない。会心にもレベルがある。昔の会心なんて今思えばたいしたことない。会心とは悟りのようなもの。そうやって向上していく。」

今回、エンジン01文化戦略会議に朝の9時から数コマ参加し、ライブで一流の方々のお話を聞くことに、すっかりとりこになってしまいました。TVとは全く違います。TVでは放送作家のいうとおりのトークや、当たり障りのないように編集されるなど、御本人の息遣いまで聞こえてきません。ご本人を目の前にする臨場感、肉声で聞くことができる体験談、編集されない自由な語りにハラハラしたり、笑ったり、同じ空間で出来ることは素晴らしい時間でした。これからも講演やセミナーには積極的に参加していきたいと思います。

実行プラン①ライブの講義に積極的に参加する。

実行プラン②スポーツでさえ精神の使い方が重要。日常や労働でも精神の使い方が結果を左右するこことを意識する。

実行プラン③思い切って過去のやり方を捨てることも選択肢のひとつ。

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