2009年10月17日土曜日

COURRiER Japon (クーリエ・ジャポン) NOVEMBER 2009

COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2009年 11月号 [雑誌]

「ルイ・ヴィトンの森」が今年9月、長野県小諸市に誕生したのをご存じだろうか。
『COURRiER Japon(クーリエ・ジャポン)』(2009年11月号)の記事では、ルイ・ヴィトン5代目当主と、坂本龍一氏の語らいが、あたかも森の中から聞こえて来るようだ。地球環境を考える特集の中で、彼らが共同で森林支援プロジェクトを発足させたことを、清々しく報じている(p62~67)。

私の故郷は岐阜であるが、幼少の頃は小さな山の雑木林の中で、ドングリ拾いをして遊んだ。今では、違った楽しみ方も加わっている。故郷の森では、クラシックやジャズの野外コンサートが行われている。この夏にも家族で訪れたばかりだ。木々が香る、ひんやりした空間の中で奏でられる音楽は、自然と一体化し、心に届く。

このように美しい森のある日本が、居住不可能な砂漠と化すという。それは想像し難いことだ。しかし、本誌が取り上げた、イギリスの「ニュー・サイエンティスト」誌の記事には、地球の気温が4℃上がれば、日本は砂漠化するとのシミュレーションがある(p36)。

地球の気温の上昇は不可避であるから、適応することを考えなければならない、というくだりでは、人口、エネルギー、水、食料の再配分が必要となると述べられる。いずれ、その再分配をめぐって、人間同士の醜い争いがあちこちで勃発するであろうことは、容易に想像できる。

この記事の末尾にある、ノーベル化学賞を受賞した気候学者、パウル・クルッツェン氏の言葉が、強く心に残る。    

   “「安全を期すためには、炭素排出量を15年後までに70%も減らさなければならない。

    だが今のところ、人類は毎年3%ずつ排出量を増やしているのだ」”

私たち個人には、一体何ができるのだろう。地球環境は、我々の営みとダイレクトに繋がっている。今すぐできることは、無駄なものは作らない、使わないということではないだろうか。日本人の生活の中には、過剰なものが多い。今、この瞬間から、本当に必要なものを見極める力が求められているように思う。

1冊の『COURRiER Japon』には、世界の1500を超えるメディアから厳選された記事が集められている。世界各地の人々が何を考え、どんな暮らしをしているのか、広く見渡すことができる。誰かにとっての「正義」は必ずしも他者にとっての「正義」ではないことも理解できるようになる。そして、地球上のすべてが繋がっていることに気づく。

例えば、本誌にある、カナダの「マクリーンズ」誌の記事(p94~95)には、和歌山県太地町におけるイルカ漁が国際的に非難を浴びている様子が描かれる。しかし、皮肉にも、捕獲されたイルカは、世界各地の水族館からニーズがあり、輸出されて行くという。

同記事中の、イルカ保護活動ドキュメンタリー映画『ザ・コーヴ』の監督ルイ・シホヨス氏の発言は、日本から見れば、根拠が薄いように思われる。

   “「日本では水銀とイルカ漁の問題が組織的に隠蔽されている」とシホヨスは言
う。
    これには、政府内の腐敗や、日本のマフィアであるヤクザが関係しているというのだ。”

そして、追い込み漁によって、入り江がイルカの血で真っ赤に染まった、センセーショナルな写真も掲載されている。


外国でこのように報じられれば、わざわざ疑ってまで真実を知ろうとする人は少ないだろう。

日本の立場から見ると、イルカ漁は合法であり、一定の地域の食文化でもある。 『ザ・コーヴ』では、太地町でのイルカ漁を盗撮するのに、約4億5000万円も使ったというが、いささか過剰な金額ではないか。地球温暖化防止のために使うという選択肢もあるというのに…。
「ルイ・ヴィトンの森」の森林支援プロジェクトとは、まったく対照的である。

同じ記事を読んでも、私とは違った感想を抱く人も多いだろう。読む人によっても、色々な捉え方ができるのが『COURRiER Japon』である。地球上の人々の営みを俯瞰的に見るきっかけを与えてくれる、貴重な雑誌だ。

(本誌は、
レビュープラス様より、献本いただきました。御礼申し上げます。)

9 件のコメント:

友 さんのコメント...

にっぽん人は世界中でもっともティッシュペーパーを多く消費している、ということを10年以上前に知って以来、
とても気をつけています。

節約。
紙、電気、ガス、水、ものを大切に

近頃は、息子の学校からのおたよりの紙が
無駄に思われ気になります。
一瞬目を通すとゴミ箱へ直行。

情報と紙のもとになる資源・・・
天秤にはかけられないのかも知れませんが

BUSHIDOU さんのコメント...

友さん、コメントありがとうございます!

何事も「本質的なものに集中する」ことによって、色々な無駄が省かれていくような気がしています。

日常的には、時間の使い方から意識していくと、生活全体が引き締まります。消費的な時間から、未来につながる時間へ。

学校からの連絡もPDFファイルで送ってくれるといいですね。

私は「車は持たず自転車通勤」「お風呂の水を無駄にしない」ことをキープし、職場でも省エネ化できることを毎日探してみようと思っているところです。

街弁 さんのコメント...

 面白そうな本ですね。
 
 お恥ずかしながらイルカ漁の問題は存じ上げておりませんでした。

 「美味しんぼ」という漫画で、鯨漁の問題が取り上げられていたのを思い出しました。
 私が子どもの頃は、嫌というくらい鯨肉を食べさせられていました。給食でも普通に出されていました。

 しかし、今では滅多に食することができません。日本の大切な食文化が外圧によって消滅してしまいました。残念です。

 よく「常識」「正義」という言葉を口にする人がいます(依頼を受けた事件の相手からしょちゅう言われます)。しかし、人によって「常識」「正義」って違いますよね・・・

 国が異なれば、尚更でしょう。日本の視点だけではなく、たまには他国(多国?)の視点で物事を考えるのも重要ですね。

 早速、立ち読みに行ってみようかな。

BUSHIDOU さんのコメント...

街弁先生、こんばんは。

おっしゃるとおり、色々な立場の方の、ものの見方を知るのは、仕事をしていく上で本当に大切だと感じます。

俯瞰する視点も、バランス感覚を磨く上で重要だと気付きました。世界で一番大きな問題は何か、一番困っている人は誰か、という視点は、失ってはいけないと思いました。

その意味でも、クーリエ・ジャポンは基本に立ち返ることができる雑誌だと思います。

名駅前では、ジュンク堂のレジの前の雑誌コーナーにおいてありますので、注目してみてください。

nikolito さんのコメント...

はじめまして、クーリエ・ジャポン11月号のレビューコンテストで同じ賞をいただいた、nikolitoです。ブログ、繊細かつ説得力があり、とても面白かったです。
特に、イルカのくだりは、環境を守るために「本当に必要なことはなんなのか」ということが、巧みに表現されているなぁと思いました。nikolitoのブログはまだまだですので、これからもちょくちょく参考にさせていただきますm(_ _)m
今後ともよろしくお願いします。

BUSHIDOU さんのコメント...

nikolitoさん、はじめまして!

ほのぼのとした中に、読んでいてとても充実感があって、気持ちが温かくなりました!私もやさしい視点を見習わせてください☆

また、ブログにもおじゃましますね!

私は、ブログのカスタマイズの仕方を知らず、なんだか画面がおしゃれじゃない(笑)ので、ぜひ、またいろいろ教えてください!

コメント、ありがとうございました!
是非、講談社でお会いしたいですね!

こけっと さんのコメント...

BUSHIDOさんの本の読み方が伝わるような文章ですね。
読んでて興味がどんどん沸いてくるかんじがします。

メディアリテラシーの高さ=情報俯瞰力なのかもしれませんね。
情報化社会で大切になるその能力が低めるような学校教育が小さい頃怖かったです。。

「正義」や「常識」は異なって当たり前くらいに気でいます。
友人の幅広めて思考の軸増やし♪

BUSHIDOU さんのコメント...

こけっとさん、アリガトー♡

「グリーン革命」が課題本だった時の
こけっとさんのアウトプット、
Spring Waterさながらの純度と発想の豊富さに、目も耳も釘づけでした!

>友人の幅広めて思考の軸増やし♪

これ、いい!

軸をねじねじして、スパイラルにしよう!

次使えるー(笑)

BUSHIDOU さんのコメント...

(上記の補足)次回アウトプット勉強会の課題本のキラーメッセージは、「らせん」だから♪