2010年2月25日木曜日

笑いすぎ注意!『反社会学講座』

反社会学講座 (ちくま文庫)

まだ2月ですが、今年最も自分の価値観をゆるがした本になりそうです。

この本は、先日の名古屋ライフハック研究会にて、書評ブログ「書肆小波」でも興味深い

選書をされている、sazanamiさんからお借りしたものです。タイトルは一見堅そうですが、

驚くべき変化球でした。御礼申し上げます。

この本、電車の中で読むと、「ぶっ」と何度も吹き出すので、

人のいないところで読むのをお勧めします。

著者のパウロ・マッツァリーノさんは、おそらく、「不真面目そうに見える真面目な社会学者」か

「真面目そうに見える不真面目な社会学者」のどちらかです。

本文中、自らを「ちょいウザおやじ」とも呼んでいます笑。

おちゃらけた学者と言えば、週刊文春の連載で有名な、お茶の水大学哲学科教授の

土屋賢二氏を思い出しますが、パウロ氏は、彼以上に私たちの脇腹をくすぐってきます。

しかし、『反社会学講座』は、土台は非常に知的で、学問的でもあり、なんとも不思議な本でした。

いずれにしろ、自分の盲点を山ほどかき集めて見せてもらえるため、読後には、

生まれ変わったような気持ちになれます。

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☆私にとって社会学は憧れの学問だった!

私が大学生の頃、「社会学」とはテーマが自由で、なんでもありな学問だと思っていました。

当時は、東京大学で社会学者をされていた宮台真司氏が、

女子高生のブルセラ(懐かしすぎる笑)や援助交際の実態の研究をしていたり、

上野千鶴子教授による女性学も、社会学の一つとして、有名でした。

「東大の先生が研究しているんだから、たいそう社会的意義があるんだろう…」

権威を疑うことを知らなかった当時の私は、すっかり社会学という「超個人的な趣味が

許されそうな」分野に魅惑されていきました(笑)。

なんてったって、テーマは自由。カフェ論とか、OL論とか、恋愛論とか

女性雑誌に載っているようなテーマで、アンケートにちょっとだけ毛が生えたような

社会調査をすればよさそうに見えました(それにしても女性雑誌の恋愛調査データや

ロンブーとかがやっているバラエティ番組のランキングデータって、適切な調査方法に

のっとって行っていないですよね。たぶん。面白いからいいけど。)。

一方、私は、平凡な英米文学科の学生(東大じゃないですよ!当たり前ですが笑)でしたので、

やはりスタンダードな、「嵐が丘」や「ポープの詩」 などの課題レポートを、

教授にいわれるがまま、せっせと書いていました。

しかし、あまりの意外性の無さに危機感を覚え、他方面の学問に開放感を求め始めました。

そこで、社会調査をしている社会学科の友人の宿題を手伝うことにしたのです。

手伝ったのは、アンケートを送付して回収するだけですが(PCが普及していない時代です!!!)、

統計の数字の分母にバリエーションを付けるために他大学の知人にも協力してもらったのでした。

確か、テーマは「卒業後どんな生き方をしたいか」だったと思います。

友達同士で電話で語り合うような話題でレポートが書けるなんて、

社会学とはなんと気楽な学問だと、私自身の進路選択の誤りに後悔の念を覚えたのでした笑。

そして、キャリア志向だった彼女は、キャリアな志向な大学の知人中心にアンケートを集めて

いたので、結果には、バイアスがかかっていたはずです(彼女も私もそれを十分にわかっていて、

好ましい結果※が出たことに勝手に満足笑)。

※結果:「昨今の女子学生には、専業主婦志向はほとんど見られない」。

そして、ランダム調査は、学生が単独で行うには意外に難しい、ということも知りました。

(これは、私が学生時代、外から見ていた社会学科。実際は、もっとハードなはずですので、

社会学部、学科の皆さんの反論をお待ちしております。)******************************************************************
☆『反社会学講座』を読んで、社会学をいいかげんな学問と思うか、世にも面白い学問と思えるか。

本の構成としては、いわゆるクリティカルシンキングが根底に流れているのですが、

パウロさんは、その反証の段階で、いちいち人を笑わせます。

「社会学」はこじつけで成り立っている、ということをこじつけで論証しているようにも見えます笑。

しかし、そんなことはどうでもよくなってしまうくらい、

“私は今まで、嘘を信じ込んで生きて来た!”(笑)と思えるほどの衝撃的な反証の本。

ゆえに、レッテルを貼ることが好きな方や、思い込みが激しい方には、特にお勧めします笑。

例えば、なんでも少子化のせいにする人、日本人は古くから勤勉だったと思っている人、

凶悪少年犯罪が近年急増していると信じている人。メラビアンの法則を鵜呑みにする人笑など。

つまり、自分の考えを持っていない人すべてにオススメ。読まなくては分からない文体の面白さは、

ここでは伝えきれません。αブロガー小飼弾氏もこの本を読んで著者のファンになったそうです。

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☆『反社会学講座』は、「カツマーvsカヤマー」論争に首をつっこむ!

この本の最後の方で、パウロさんは、まるでカツマーvsカヤマー論争を予測していたかのように

自論をケロリと書いています。本書が加筆され、文庫化されたの2007年7月。ちょうど、勝間さんの

年収10倍アップ本が売れ始め、自己啓発本ブームが始まった頃でしょうか。

パウロさんの記述は、今ここで書くと“偶然が生んだ過激論”になるので、

やわらかめのところだけ、抜粋しておきます。あなたはどう思われますか?

“努力するのは宝くじを買うのと同じです。買わなきゃ永遠に当たらないし、買ってもあたる保証はありません。もしかしたら…と買い続けることが楽しいのです。人生も、そんなもんですよ。”

私は、学生時代、なんの努力もせずにぼーっと遊んでいたら、社会人になってから苦労したので、

学ぶ姿勢は大事だと思っています。

普通の生活の維持や、職場での信頼を得るにも、努力が必要だと思うんだけどな。。。

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☆おまけ

パオロ・マッツァリーノさんのサイトはこちら

パオロさんに魅せられた人は、次は「つっこみ力」を読みたくなるはず(私がそうです)。

(※この本は、「王様のブランチ」でも紹介されたそう。)
つっこみ力 (ちくま新書 645)
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改めて、私の読書に広がりを与えて下さった、sazanamiさんに感謝申し上げます!

4 件のコメント:

sazanami さんのコメント...

ご紹介いただきありがとうございます。
また、非常によいまとめを書いてくださりありがとうございます。

わたしにとってこの本は、「正しいとは思う(正しいと言われている)けれど、なんとなくもやもやしたものを感じる」事柄に、はっきりした輪郭を与えてくれた本です。この本で視野が広がったと思います。
「つっこみ力」は未読なので、今度読んでみます。

この本に興味を持ってくださったこと、そしてBUSHIDOUさんのお役に立てたことをうれしく思います。
これからもよろしくお願いします。

BUSHIDOU さんのコメント...

sazanamiさん、

ご訪問ありがとうございます!

こちらこそ、良い本をお借りできて、
とても充実した時間を送ることができました。

>わたしにとってこの本は、「正しいとは
>思う(正しいと言われている)けれど、
>なんとなくもやもやしたものを感じる」
>事柄に、はっきりした輪郭を与えてくれ
>た本です。この本で視野が広がったと
>思います。

本当にそうですね。
まさに、すこし違和感のある常識に“はっきりとした輪郭”を与えてくれる本でした。

本との出会いは、不思議なものです。

また、「書肆小波」も楽しみにしています。
こちらこそ、今後とも宜しくお願い致します。

花熊武士 さんのコメント...

パオロさんの「反社会学講座」笑えますよね。僕が大人になってから本を読むようになったきっかけの本です。

テレビ番組は「視聴率」をとることが至上命題だから、データなんて、適当なのは仕方ないですよね。
5人質問して4人が「Yes」なら、80%が「Yes」という結論。
いくらでも操作可能ですね(笑

子供が
「友達はみんな持ってるから買ってよー。」
の「みんな」はせいぜい3人だって。
それと同じですね。

BUSHIDOU さんのコメント...

花熊さん、コメントありがとうございます。

はははは!本当にそうですね。
エンターテイメント番組の統計
って、都合のいいように
とられていますよね。

>僕が大人になってから本を読むように
>なったきっかけの本です。

この本を、かなり前から知っていた
方は、やはり、自分軸がしっかりしている
方だと感じました。

ほかには、どんな本を読まれているのか、
とても気になります。