2010年6月29日火曜日

『モチベーション3.0』大前研一訳・ダニエルピンク著

7月7日の発売前に、なんとゲラの段階で送っていただきました。講談社様、レビュープラス様に御礼申し上げます。



モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか
ダニエル・ピンク
講談社
売り上げランキング: 200

こちらが原書です。原題は『Drive』。↓
Drive: The Surprising Truth About What Motivates Us
Daniel H. Pink
Riverhead Hardcover
売り上げランキング: 290
おすすめ度の平均: 5.0
5 文章が面白く、ツールの充実した、あのダニエル・ピンクの新作
5 やる気の素 モチベーション3.0
5 経営者、教育者の必読書


現代社会に生きる私達が何をモチベーションとすれば意気揚々と働くことが出来るのかについての最先端の考察がされている本です。

『A Whole New Mind』(大前研一訳の邦題『ハイコンセプト』)のダニエル・ピンク最新刊であり、本書は、21世紀版『人を動かす』だと言われています。

本書は、個人だけでなく、マネジメント職の方は絶対に読んでおくべき本です。特に、マネジメントを監視やコントロールだと思い込んでいる50代、60代の経営者や上司には、この本を読んでマインドセットするか、さもなくばさっさと退職したもらうかどちらかにしてほしいくらいの素晴らしい内容でした(笑)。

☆ほぼ日サイトにも共通するコンセプトが流れている!

この本を読んで、まず思い浮かんだのは、以前、ほぼ日のサイトで見かけた糸井重里さんの言葉です。

公私混同が上手にできている人は、楽しくいい仕事ができる。

以下ほぼ日就職論から、糸井さんの発言の抜粋

「仕事」と「遊び」のあいだにいい意味での「公私混同」というかな、そんなことが、もっと認められていかないと。

うちの会社では、説得力さえあるなら、ぜんぶOKなんですよ。たとえば昼間、映画に行ったっていいんです。

そのときに「あいつ映画なんか行って」なんて説得力のない場合は、ダメ。「映画に行ってるよ」と言われて、「あ、そう」って、ふつうに言われるやつならそれだけのことをしているということだし、映画に行くということにたいしてもある意味、自信をもって行けるわけです。

(参照URL:http://www.1101.com/job_study/kanai/2007-06-05.html


私は、糸井さんの仕事における「公私混同論」を初めて知った時、衝撃を受けました。

特にクリエイティブ職や経営者は、24時間頭の中で何かが産まれる瞬間を大切にしているはずで、時間や空間を強制されてすごすのではなく、自発的にアイデアや刺激を受ける場に繰り出して、それを仕事に生かすことが大切だということに共感したからです。


(※ほぼ日手帳も、公私混同原論がもととなって出来ている手帳だそうですよ!)

しかし古い体質の会社や、経営者からしたら、「遊びっぽいものは休日にやって下さい」ということになるのが現状です。

私は法律事務所の事務職員で、毎日事務机の上で、手続きの書類を延々と作成したり、事務所の経理などをPCで行っています。

もし私が仕事を楽しくするなら、尋問や弁論を毎回傍聴に行って、相手方の言い分もリアルに聞いてみたいと思います。事件の全体図が俯瞰できるからです。いつもパーツ(手続き)ばかり触っているだけで、あとは想像の範囲でしか知らないのは、なんとなく自分の仕事に大きな意義を見いだせなくなることもあります。

自分がやっていることと、社会とのつながりを現場で知ることが出来ると、モチベーションはずっと維持できると思います。

しかし実際は自分の作業を置いたまま、抜け出して見に行くことはできません。やはり、外に出ている=自分のすべき作業をさぼっているというような感覚が植えつけられているからでしょう。

どんな人でも組織の駒でなく、プレーヤーになって、全体が見渡せる位置で自分を発揮したいと思っているはずです。

☆先進国のプレーヤーから学ぼう!!

そのためには、私達は何を持たなければならないのか、マネジメント職についたら、部下には何を与え、何をしないべきなのか、本書を読めば意識が新たになりますただし、一人だけで読んでいては組織は変わらぬまま、閉塞感につつまれていくでしょう。本書は組織にいる全員が自発的に読むべき本だと思いました。

モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか
ダニエル・ピンク
講談社
売り上げランキング: 200


“いまや先進国に残った作業の大半は付加価値を求め、その都度違うことをする、クリエイティブな作業である。”(まえがきより)

大前氏のこの言葉は、非ルーチンワークについている人々に対しては、発想の自由度を阻むような成果主義ではもう立ち行かなくなることを意味しています。

それでは、今後、モチベーションに関して、どのような道を歩めばよいのか、そこには第3の道があることが本書を読むことで明確になります。

先進国においては、既に、“自分で人生を管理したい、新しいことを学び創造したい、そして向上して世界に貢献したい”という人間に内在する欲求をもとに具体的に行動している人達がいます。

そんな人達の行動から私達が学べることがあるはずです。

例えば、本書に挙げられている中でも特に私が注目したのはこの2つの要素です。

自ら方向を決定したいという欲求=自律性(オートノミー)

自分の能力をどんどん上達させていという衝動=熟達(マスタリー)

これらを分析することで、いかに自分を「Drive」(原書のタイトル)させるか、を決定づけることができます。

本書では、非常に示唆に富んだ事例がいくつも取り上げられているのですが、

“「優秀な人を雇ったら、あとは好きにさせること」”

というアメリカのスリーエム社の社長兼会長の先見性のある言葉は、とても的を射ていると思います。

私がいままで生きてきた中で、とても優秀だった人を思い出してみると、

例えば、高校生のころ、国立の医学部に現役合格したような人は、部活動にも熱心で、体育会系部活と文科系部活を掛け持ちし、夏休みには試合のために自主練習さえもしていました。おまけに恋愛話も熱心にしていましたし(笑)、雑誌を読んでおしゃれの研究もあれこれしていました。

首都圏の有名な私立の超進学校では、生徒たちが自分で自分をコントロールする力が強いので、制服もなく校則もゆるい、という話もきいたことがあります。
こういった優れた集中力を持つ人達に、「受験生は部活禁止」とか、「頭髪検査」や「鞄の中身チェック」などをやったら、おそらくのびのびと自分自身の力を発揮できなくなるように思います。

本書を読みつつ私が考えたのは、レベルの高い人たちに対しては第一に『自律性』を尊重しなければいけない、とまで言い切れるのではないかと思います。

☆4つの側面における自律性

本書では、仕事の4つの側面について自律性が尊重されるしくみを作れば、クリエイティブな働きをする人のモチベーションが維持できる、とあり、その4つとは、

◆課題(task)・・・何をするのか
◆時間(time)・・・いつするのか
◆手法(technique)・・・どのようなやり方でするのか
◆チーム(team)・・・誰と一緒にするのか

であると述べられています。

是非自分の仕事を振り返って考えてみてください。上司から与えられたプロジェクトや作業を、勤務時間内に、職場のシステムにのっとって、誰かが決めたチームで行っている仕事の方が多くないでしょうか。すべて他人の手の中にある感じです。これは大企業ほどその傾向が強いような気がします。

逆に、この4つに自律性が与えられれば、仕事そのものに満足度を得ながらやる気を維持できる、ということなのです。

その仕組み作りには具体的にどうすればいいのか、また、あまり優秀ではなく怠惰な従業員に対してはどうすればよいのか、そういった具体的な問題の解決法も本書で発見することが出来ます。

この本は、是非、教育者の方にも読んでほしいと思いました。子どもたちが自律性を持って何かを成し遂げる喜びを知り、立派に成果を上げれば、未来には自律性を重んじる職場がたくさん生まれると思います。

本書は本年発売されているビジネス書の中でも、現状打破のエネルギーを非常に強く感じる内容です。ダニエル・ピンク氏、大前研一氏のファンの方はもちろん、自分の能力を生かし切って、常にモチベーション高く充実した仕事人生を送りたい、すべての人に読んでほしいと思いました。

0 件のコメント: