2010年6月20日日曜日

三島由紀夫の鮮烈な言葉たち

女神 (新潮文庫)
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三島 由紀夫
新潮社
売り上げランキング: 125958
おすすめ度の平均: 5.0
5 面白いです
5 自然と意志
5 やっと二人きりになれたね
5 参考にもなる本
4 女神


☆美について、女性についての本

先週、図書館で三島由紀夫の『女神』を借りてきました。

ある男性が、妻と娘を自分の理想美どおりに教育していくというストーリー。


社交界でも華々しい美を誇った妻は、ある日戦火で顔半分に醜いやけどを負ってしまいます。


妻の美の追求をあきらめたその男性は、今度は娘の美しさに対して情熱を注ぐのです。


例えば、選ぶお酒は、来ている洋服の色と合っていないといけない、とか、

教養についても、女性は美術についてあまり詳しくない方が良いなど、

彼なりのいろいろセオリーがあるのです。


以前、故伊丹十三監督のエッセイ『女たちよ!』を読みましたが、その中にも、見かけから教養まで、理想の女性像が描かれていました。


男性達は勝手なことをいうものだなあ、と思いつつも、確かに素敵な女性像だと思ったものです。


女たちよ! (新潮文庫)
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伊丹 十三
新潮社
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おすすめ度の平均: 4.5
5 男の美学 女の美学 語りかける皮肉
5 「ホンモノ」を擁護し、「ニセモノ」を厳しく糾弾する。
5 男の美学 女の美学 語りかける皮肉
4 ホンモノとは、何かを学ぶ
4 軽やかに


私は美容よりも、趣味の方が大事なので、大学時代も100円均一の口紅を塗っていたくらいです。

今でもすっぴんで職場に行く日がありますw

そんな感じで美への追求などには縁がない生活をしてきてしまいましたが、

美への執着は精神的な苦痛を伴う、ということはなんとなくわかります。


『女神』は、男性が描いた作品ながら、女性の微妙な心が非常に巧みに描かれているため、



読んでいるとちょっと怖くなりますが、美や恋、愛についての深い洞察が含まれています。



☆三島文学の鮮烈な言葉たち

さて、三島文学は、作品そのものが良くできているだけでなく、鮮烈に心に残る言葉がいくつもみつかります。



そんな言葉に心をえぐられるような瞬間こそが、小説を読む楽しみでもあります。



【従順な娘朝子に対して、ある青年が言った言葉】



“火に対抗するのには氷といふのはまちがひですよ。火には火、もっと強い、もっと猛烈な火になることです。相手の火を滅ぼしてしまうくらいな猛火になることですよ。さうしなければ、あなたの方が滅びます”

への執着の末、顔にやけどを負った妻依子についての描写】



“前半生を美しさの維持とその不安にすごし、後半生を美しさの喪失とその絶望にすごして、まったくただの一度も、彼女自身の生活を送ったことがなかった。”


【良家の婚約者がいながらも、芸術家の青年に恋をしてしまった娘朝子が、不安定な心を抱えている時の心の吐露】

“『パパが教えてくれたのは、心の形骸の生活の作法だけだったんだわ。しかもそれが今の私の、唯一の支えになっているなんて、本当に奇妙なこと』”

結末はちょっと予想外だったのですが、最終的に妻や娘を不幸にはしない設定になっているところに

、三島由紀夫の優しさを感じました。

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