2010年7月3日土曜日

勝間和代訳・マルコムグラッドウェル著『THE NEW YORKER 傑作選1 ケチャップの謎』 ~

7月7日発売の勝間和代訳・マルコムグラッドウェル著『THE NEW YORKER 傑作選1 ケチャップの謎』を一足お先にゲラの段階で送っていただきました。講談社様及びレビュープラス様に御礼申し上 げます。


☆ケーススタディから学べる!

マルコム・グラッドウェルの著作を勝間和代さんが翻訳されたのはこれで2冊目になります。
天才!  成功する人々の法則
マルコム・グラッドウェル
講談社
売り上げランキング: 3243
おすすめ度の平均: 3.5
3 面白い本ではある。
5 お得な本です。
5 この本の要点。
4 「アウトライアー(原題)」に関する本
2 天才になれるハウツー本ではない。



1作目の『天才! 成功する人々の法則』は、「天才」を観察・分析した本で、環境的要因や条件など、成功者が生まれるために必要な様々な要素を多角的に知ることができ、目からウロコでした。読み物としても大変面白かったです。
今回の新刊『The New Yorker』は、大雑把に言えば、

◆成功している人のアイデアや頭の中をクローズアップ(これで、すごい発想のしくみがわかる!)

◆人の心をとらえる商品の分析

が、ストーリー形式で詳細に語られています。

まさに、1つ1つの現実のケーススタディから学ぶことができるのです

通常、ビジネス書では、「一般化・抽象化された法則」が書いてあることが多いのですが、具体的な事実から学ぶ方が、より発見が多くなることを実感しました。

本書は、特に商品開発や、企画に携わる人にとっては、必読の書です。

私が本書を読んだ感想は、

小ワザの効いたアイデアを商品化して人気を維持するには、長期的な情熱が必要だということ
そして、

◆頭を徹底的に使うこと

◆徹底した現場主義

◆品質管理で信頼を維持することへの多大な努力


という、一見当たり前のことを実行できている人は意外に少ないのではないか、ということです。

また、これらは、今流行りのセルフブランディングにも通じることであり、

◆自分自身を徹底した自己分析により商品化し、

◆時代流れと社会のニーズに的確に反応し

◆品質管理(レベルを維持し続ける)する

というように、応用することもできそうです。

本書の魅力は、ケーススタディから学ぶことで、イメージがどんどん膨らみ、自分自身の仕事に置き換えて考えやすいところです。

つまり、実際のストーリから学んで、自分で応用的発想をすることの面白さに目覚めさせてくれるのです。

まだ、本書は発売前ですので、具体的な内容についてはエッセンスのみ、ちらりとご紹介しておきますね。

☆商品開発の本質とは

アメリカでユニークなキッチン用品を販売し、TVショッピングの王様として有名なロンコ社ですが、創業者は実演販売人からのスタートだったそうです。


そんなロンコ社のストーリーは本書を読んで楽しんでいただくとして、私が注目したのは商品開発の極意ともとれるこの一節です。



“ロン(※)は一度も消費者グループに意見を訊ねたりはしなかった。マーケットリサーチもR&D(研究開発)チームも、もちろんPRアドバイザーもマディソン・アベニューの広告代理店も経営コンサルタントも一切なし。・・・・中略・・・ロンは、自宅のキッチンで新しいアイデアを思いつき、自分たちでつくりあげて、自分で実演して売ったのである。”


(※ロン=ロンコ社の創業者一族の一人)


私も、商品開発者自身がその商品のユーザーであることはとても大事なことだと思います。

昨今色々なものがバージョンアップしていますが、使い方が変わってしまったり、多機能にしすぎて逆に不便になったり、互換性がないものが生まれたり、といったものも多く出回っています。

作った人は、開発だけに必死になっていて、実は自分自身が真のユーザーではないのではないか?と思うこともあります。

ユーザーには色々な人がいるのは確かですが、それでも普遍的な良い製品は作れるはずだと思うのです。

第2章では、ハインツのケチャップはなぜアメリカでシェアナンバー1なのかの説明がありますが、まさにそこには普遍性があるからだということがわかります。


ハインツ:ケチャップ  Heinz Ketchup - plastic bottle



“人間には五種類の基本的な味覚がある。甘味、酸味、塩味、苦味、旨味である”


“・・・ハインツのケチャップは五つの味覚をすべて獲得することになったのである。”


“ハインツがつくり出したのは、その五つの原始的なボタンを押す調味料だった。まず舌の先で甘味と塩味を感じ、酸味を最も感じる舌の脇を通り、奥に移って旨味と苦味を誘い、味の五重奏を奏でる。これほど味覚のスペクトルを持つ商品が、スーパーマーケットの棚に、はたしてあとどれくらい並んでいるだろう?”

ハインツを超えたケチャップを作ろうと悪戦苦闘するメーカーたちは、どうしても個性をだそうとしすぎて、バランスが崩れた奇抜なものを作ってしまいがちです。

人は意外と保守的であり、結局慣れ親しんだものが一番受け入れられやすいのかもしれません。

これからは、消費型社会で使い捨てられるものではなく、もっと堅実で普遍的ななモノづくりへと移行させていく時期かもしれないと思います。

最近は古典ブームがきており、人々の心理は、本質的、普遍的なものの見直しへと向かっています。

よって、商品開発には、小さい頃にあったよかったもの、大切だったものを見直してみる時間も大切だと思いました。

このように、本書は、実際にあったストーリーに引き込まれながら、忘れかけていた基本的なことに気付くことができる良書だと思います。

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