2010年9月24日金曜日

『バイラルループ』で読み解く爆発的流行の正体

☆本当にいいものだけが伝染する「バイラル・ループ」

ある商品や人物が注目を浴びて、人気が出ると、よく、「ネットで火がついた」なんていう言われ方をしますが、基本的には、人と人の信頼関係の中で起こっていることだと思います。

今回、レビュープラス様より、ITジャーナリストの佐々木俊尚さんが解説を書かれている本『バイラルループ』を献本頂きました。

(私が本書の中で最もオススメの項目は、第5章の「決めるのは消費者だ」です。
世の中に出回る映画、ニュース、新聞が今後どのように変化していくか、予測するだけでもわくわくしました。 )



バイラル・ループ あっという間の急成長にはワケがある
アダム・ペネンバーグ
講談社
売り上げランキング: 8641
おすすめ度の平均: 3.5
4 加速度のついている世界の分析としてはまあまあ
4 翻訳本とは思えないほど日本語が自然で読みやすい。
4 口コミで伝染病のように広がる成長
4 古くて新しい手法を、IT起業がいかに活用しているか
3 知識欲は満たしてくれるけど・・・

公式サイトはこちら→http://viralloop.jp/


“バイラルループ"とは、本書によれば、

「バイラル」つまり「ウイルスのように」人から人へ伝わって利用者の輪が拡大する

ことです。

本書には、SNSやTwitterなどのソーシャルメディアがあるからこそ起こったブームや、その広がり方について、具体例がこれでもかというほど紹介されており、自分の実感と比較して全体像を見られて非常に興味深いです。


また、自社商品やサービスをソーシャルメディアで表現したいと考えているビジネスパーソンは、戦略を立てる上で、本書に詳細に描かれるアメリカの事例をたくさん知っておくことが必要だと思います。

さて、皆さんは、「バイラルループ」の肝はなんだと思われますか?

私は、リスペクトだと思います。

☆類は友を呼ぶ

私がソーシャルメディアでその発言を注目しているのは、「マインドの高い人」「誠実な人」「面白い人」です。しかも、実際にお会いしたことがある人のほうが親近感がわき、リスペクトの感情も強くなります。「ただ単に有名」とか、「目立っている」というだけでは、私の心は捉えません。その人の魅力を具体的に知っていればいるほど、発言に説得力を感じて、影響を受けることになります。

私がリスペクトしている人が、ブログやTwitterで「よかった」「面白かった」と言っているものは、即座に、ポチっと購入、ということがよくあります(笑)。ソーシャルメディアを覗いていると、年齢性別問わず、世の中には本当に魅力的な人がいるものだなあ、と感心します。

職場や学校の同級生では、出会える人の数が限られてしまいますから、Twitterやブログなどで、優れた感性や知性に出会うと、半ば興奮してしまいます。そしてその周辺の人々も「類は友を呼ぶ」で、魅力的な人である確率が高いため、注目するようになります。

つまり、そのような興奮の連続が、バイラルループを伝導させる役割を担っているとも言えると思います。

また、その口コミの本体となるサービスや商品自体にリスペクトされる要素が多いほど、ループの輪が大きくなるのではないでしょうか。

本書にあるオバマ大統領の選挙キャンペーンの事例や、「アム・アイ・ホット・オア・ノット」といういろいろな人の容姿を判定して投票できるサイトにしても、本体に「品格」が保たれているからこそ多くの人の指示を集めたのでしょう。

民主党の小沢さんがバイラルループ効果で人気が爆発するとか、スパムや偽物の投稿の多いサイトの登録者が一気に増えるなどということは、ちょっと考えにくいように思います。

人は意外と冷静なので、ソーシャルメディア内で流行っていても、自分の価値観との照らし合わせをしています。「ある商品を買ったけどあまりよくなかった」という空気感もソーシャルメディアではバイラルに伝わると思います。

結局のところ、リエスペクトされている人がおすすめしているリスペクトできる商品だけに人気が集まり、人気が続く、という結果になるのではないでしょうか。

そういえば、NHKで放映されていた、「ハーバード白熱授業」のサンデル先生の講義のことも、Twitterや動画で知りました。その後、NHKの番組を見て、ついには『これからの正義の話をしよう』という政治哲学の本を買って読むことにしました。

これが発端となって、「政治とは、誰にとっての幸福をどのように実現させるのが正しいか」というテーマで物事を考えるきっかけになり、今までの私では考えられないほど重厚かつ本質的な考察をするようになりました。


これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学
マイケル・サンデル Michael J. Sandel
早川書房
売り上げランキング: 5
おすすめ度の平均: 4.5
1 低偏差値の私には難し過ぎた
5 これからの正義
1 価値観に違和感を感じる
5 『正義』を主観的に考えよう
5 読んでよかった

サンデル先生の著書は、韓国の書店でもベストセラーになっているのを見てきました。この例も、youtubeなどのソーシャルメディアにより、リスペクトが世界各国に伝染したケースだと実感しています。
☆ビジネスの視点から~バイラルループの始発駅~

本書には、バイラル・ループによる拡大に成功した企業を分析し、12の共通した特徴を挙げています。


・ウェブスペース(物理的制約が少ない)

・無料

・統合化のためのツールを提供(コンテンツをつくるのは利用者側)

・コンセプトが単純(直感的に使いやすい)

・バイラル・ループの種を内包(利用者が自発的にほかの人に勧めるような種が内包されてい
る)

・成長が加速度的(利用者が利用者を呼ぶので、雪だるま式)

・バイラル係数が高い

・成長率が予測可能(成長率が一定の法則に従うので、先の予測が立てやすい)

・ネットワーク効果(利用者が増えるほど、商品・サービスの価値が上がる)

・相乗効果(他のバイラル・ネットワークと重なってお互いの成長を促進)

・他の追随を許さない(ライバルがどうあがいてももはや手が届かない存在)

・究極の飽和状態(成長がゆるやかになってもすでに十分な利用者がおり、そのうちの20%が活発に利用している)

これらはあくまで、結果論でもあると思いますが、これらの要素を1つ1つ「なぜ」「どのようにして」と掘り下げて考えたり、「普遍的な人間の心理」に当てはめてみると、「世界で最も先進的なダイレクトマーケティング」の本質をつかむことが出来ると思います。

まずは、インフルエンサーとかハブと言われる人達が「心から面白いと思うもの」を作ることが基本だと思いますが、そのハブとなる人達に「自社商品を知ってもらう努力」をしなければいけません。

ハブとなる人はどのように見つけたらいいのでしょうか。ソーシャルメディア上では、「影響力」もある程度見える化されているように思います。

ハブとなる人は単に人気があるというだけでなく、「リスペクトされている人」という風にとらえて、その人達と積極的にリアルなコミュニケーションをとり、意見交換をすることも商品開発のブレイクスルーのきっかけになると考えます。

そんなことは当たり前だ、と思われるかもしれませんが、「ソーシャルメディア上のインフルエンサーの声を積極的に取りに行く」という姿勢の企業がそれほど多くはないように思われます。本書を読まれたら、“自社のサービスをリスペクトしてくれるであろう、周りからリスペクトされている人"を探してみるのもよいのではないでしょうか。



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