2010年11月10日水曜日

対話力がある人になるには【その②】

☆対話を避けるのはなぜか

国にしろ、人にしろ、対話をしないのは、「言わなくてもわかるだろう」「言ってもわからない相手だ」という考えに基づいていると思う。

更に、「相手の言うことを理解出来ない」という自分側の能力不足も認識するべきだろう。

他者の言い分を理解出来ない理由は、自分の知識と経験が不足しているからだと思う。

人は誰しも自分以外のものにはなれないので、想像力でカバーするより他にない。

その想像力を創りだすのが、知識と経なのだと思う。

☆わたしが対話の楽しさに気づくまで

私は親の立場に立ったことがないし、経営者や男性にもなったことがない。幸いにして重い病気になったこともなければ、大きな災害にまきこまれたこともない。日本以外に住んだこともないし、仕事も、学生時代のアルバイト以外は現在の職種しか経験していない。

私は、20代の頃、人と関わるごとに自分の経験と知識の少なさに愕然としていた。相手の話が、すとんと譜に落ちることが少なかった。だから、実体験の数をできるだけ増やそうとした。楽しそうなことはもちろん、苦手なことも、つらそうなことも含めて。

ゴールデンウィークに自転車で富山まで行ったり、海外一人旅もしたし、なるべく違う世界の人と話せる場所に行ったりした(サラ金会社の人との合コン、というものまである)。

その頃は、怒涛のように予定をこなしていくだけで、日々過ぎていった。

肉体的にハードスケジュールに耐えられたのは、「色々なことを知りたい」という渇望があったからからかもしれない。

その後、体験と、本・雑誌・映画で知ったこととが結びついたりして、頭の中がすっきり整理されていくような感覚を覚えるようになった。その頃からか、年齢がかなり離れた方達とも臆せず話ができるようになった。それは、自分が体験から語ることができる話が増えたことと、わからないことを素直に相手に聴くことができるようになったからだと思う。

「価値観の交換」=対話の面白さにめざめたのは、こうした経緯を得た後だった。

「自分はこういう経験をしてきて、知識は未熟だけれども、こういう感じ方、考え方をしています。」

という発信がちゃんとできること。

そして、自分の人生で体験できることは限られているがゆえに、自分以外の誰かの物語に耳を傾けたくなるのだ。

「あなたは、どんな経験をしてきて、どんな感じ方をして、どういうふうに物事を見ているのですか?」

其の物語を、なるべく深く理解するには、自分の色々な経験があってこそなのだと思う。

☆対話が出来る人は、「サンデル先生の正義のものさし」がキレイな形になる

このブログの【その①】で述べた、マイケル・サンデル先生の「正義」のものさしの大きさやバランスをなるべく大きくするには、価値観の交換=対話がくりかえし行われることが必要なのだと思う。

人にとってのポリシー(価値観)は、
会社では理念
国では憲法(国の理念)

と置き換えられる。

これらをものさしに当てはめてみて、
トライアングルが小さかったり、バランスが悪いのは多様な価値観を配慮していないからであり、「対話力がない」=独断が強いというようにも思えるがいかがか。

ちょっとスケールが大きくなるが、日本国憲法とアメリカ憲法の前文をトライアングル化してみた
アメリカは、キリスト教(宗教)が美徳の部分を担っているからか、憲法前文自体はかなりドライで合理的だ。

(なにはともあれ、知識と経験は意識的にどんどん増やしていった方が、人との会話が楽しくなるし、対話を通していい環境(職場や社会)を作れるようになると思うという単純なお話でした。 )

2 件のコメント:

花熊武士 さんのコメント...

>自分の人生で体験できることは限られているがゆえに、自分以外の誰かの物語に耳を傾けたくなるのだ。

アンダーラインをひくなら、上の一文です。

人の一生の時間は限られているので、僕もいろいろな物語をききたくなります。

また、憲法や理念を具体例としてあげるのは、スケールが大きいですが、わかりやすいたとえですね。

ま憲法の前文とか会社の理念は時代を経ても変わりません。
でも、僕のポリシーは変化します。
まれに、10分後には違うことを言っていることがあります(笑

BUSHIDOU さんのコメント...

花熊さん、

>アンダーラインをひくなら、上の一文です。

うおお!さすがです。書き手の一番いいたかった一文を、この長文から抜き出せるなんて!
読解力200点です。おそろしや。

>まれに、10分後には違うことを言っていることがあります(笑

ははははは!

こういう面白いオチがすっと出てくるところが天才的ですね!

普段お話をされる時は、先にオチを考えてから話をされているのでしょうか。

是非、伝授していただきたい技ですが、やはり、花熊さんの光る才能なのだろうなあ!!