2010年12月24日金曜日

大前研一著『お金の流れが変わった!』を読む

レビュープラス様より、大前研一著「お金の流れが変わった!~新興国が動かす世界経済の新ルール~」を献本頂きました。 いつもありがとうございます。

お金の流れが変わった! (PHP新書)

☆世界経済の変化を的確にとらえよう

大前研一氏の本を読むと、決まって得られるのが、「危機感」と「今後どうしたらよいかのグランドデザイン」です。

本書は、「新興国が世界経済を動かしている中で、今後日本が経済成長するには、どのような戦略が必要か」についての強力なガイドラインと言えます。

世界的コンサルタントの大前氏が、実際に新興国の現地を訪れた上で語る提言には、説得力があります。「数年前と比較したり、今後の発展を予想する」には、大前氏のように長期間にわたって流れを観察したり、実際に何度も訪問しないと見えてこないものがあると思います。

日本のすべてのビジネスマン、学生は、現地に出向いて世界経済を分析し、提言するプロフェッショナルの視点に、必ず触れておく必要があります。そして、発展のカギがどこにあるかを、自分なりにシミュレーションしてみることが大切です。

私自身は、実体経済、バーチャル経済、どちらについても知識がほとんどなく、一般的なニュースを見ることによって、「活性化している国」と「衰退している国」をざっくりとらえている程度でした。そんなレベルでも、大前氏の端的な説明と解決法を読み、頭の中で経済発展地図がイメージできるようになりました。

☆キーワードとして頭に入れておこう

本書には、これからの経済を語るのに欠かせない、いくつものキーワードが出てきます。 今後の経済発展のシナリオを描くには、これらの理解が欠かせません。私自身が本書を読んで気になった言葉は以下のとおりです。皆さんも本書を読んで、自分なりのキーワードを拾い出してみてください。

◆ホームレス・マネー

投資先を探して世界をさまよっている、不要不急で無責任きわまりないお金のこと。主に3つの出処があり、1つはOECDに古くから加盟していた国々の余剰資金、2つ目は中東産油国につみあげられた多額のドル=オイルマネー、3つ目は、中国マネー。
◆「BRICs」だけでなく「VITAMIN」の時代へ

今後世界の投資マネーが集まるであろう国々。VITAMINとは、ヴェトナム、インドネシア、タイとトルコ、アルゼンチンと南アフリカ、メキシコ、イランとイラク、ナイジェリアのこと。
◆原子力発電
明らかになっているだけでも、世界中で100炉以上の原子炉が求められている。日本にとって大きなチャンスだ。
◆日本の鉄道モデルの輸出
JR東日本のビジネスモデルのように、駅ビル型ショッピングセンターと電子マネーのSuicaを連動させて、乗客に様々なサービスを提供するパッケージ。地域・コミュニティ・総合サービス産業である日本の鉄道事業は、他国も是非取り入れたいと思っているモデルである。
◆貧困層需要~企業の社会的責任と利益活動の融合
社会的責任と企業戦略を両立させている貧困層向けビジネス。バングラディシュ出身の経済学者ムハメド・ユヌスが創設したグラミン銀行が有名。
本書では、こうした事例が多く紹介されている本として、ミシガン大学のC・Kプラハラード教授著、『ネクスト・マーケット』を挙げている。
ネクスト・マーケット 「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略 (ウォートン経営戦略シリーズ)

◆内外から投資したくなるような物語をつくれ

☆ 行動しなければ、変わらない。

世界経済の流れを知り、構想を描けたところで、自分にはいったい何ができるのでしょうか。実際に行動を起こさなければ、何も変わりません。本書では、企業にとっては、新興国の開拓が最重要課題となっているにもかかわらず、それに見合った能力や準備にも欠けていると指摘されています。

本書を読んで、私が真っ先に思い出した「行動する日本人」は、マザーハウスの山口絵理子さんです。TV番組「情熱大陸」で初めてその存在を知りました。

彼女は、バングラディシュに単身乗り込み、途上国から世界に通用するブランドをつくる」という理念のもと、バングラデシュのジュート(麻)やレザーを用いた高品質なバッグを作り、現地の自立した経済活動を目指そうとブランドを設立されました。デザイナー兼経営者をされています。

「アジア最貧国に安定的な雇用を生み出し、労働者に誇りを持たせ、良いデザイン・高品質のブランドを作って販売する」

言葉で語るのは簡単ですが、これを現実化させたのが日本人の20代女性、山口絵理子さんなのです。つまり、私が上で挙げたキーワードのうちの、少なくとも2つ(最貧国需要・ストーリー)を行動にされています。

◆情熱大陸HP:http://www.mbs.jp/jounetsu/2008/03_16.shtml
◆山口絵理子さんの書籍「裸でも生きる2」
裸でも生きる2 Keep Walking私は歩き続ける (講談社BIZ)

◆バッグブランド「マザーハウス」HP
http://www.mother-house.jp/


☆自分にできること

私は、できるだけ世界を広く見渡して、社会的に意義のあることを応援したり、日本の強みが失われない政策を支持したい考えるようになりました。自分自身が社会起業家になることができなくても、健全に経済が回ると思うことにお金を使ったり、場当たり的な政策にNoを突きつけることはできます。

大前氏の「お金の流れが変わった」を読んで、日本人が努力の方向性を定めるための意識改革が促されました。


あとがきでも述べられているように、恐れず「外向き、上向き、前向き」に進む勇気を、我々日本人は身につけなければなりません。

お金の流れが変わった! (PHP新書)

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