2013年7月1日月曜日

【書評】センスの巨人の読書術!『戦略読書日記』楠木建著


戦略読書日記 〈本質を抉りだす思考のセンス〉
楠木 建
プレジデント社
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日本のビジネスパーソンに不足しているのは、スキルというよりセンスだ、とはっきり示してくれたのが2011年ビジネス書大賞にも輝いた、ベストセラー『ストーリーとしての競争戦略』(楠木建著)だった。
 
センスとは、著者の言葉を借りると、「文脈に埋め込まれた、その人に固有の因果論理の総体」であり、「引き出しの多さ」であるということだ。スキルを「国語算数理科社会」に例えるなら、センスとは「どうやったらモテるか」という話であるとも言っている。
 
著者は、センスを磨くには、場数を踏むことが大事であると説く。しかし、実際に戦略を作る経営者の仕事を経験できる人は少ないので、疑似場数でも有効だと著者は語る。
 
その疑似場数とは、ひとつには「センスのいい人の隣にいて、一挙手一投足を観察することで」あり、もうひとつには「文脈を豊かにする読書」だという。
 
ということは、センスのいい人の本の読み方を見破る(見破る、の意味は『戦略読書日記』の文脈の中から見つけてください。)ならば、誰でも疑似場数をバリバリ踏むことができるというものだ。
 
著者の楠木教授は、文体や思考の流れ、話の脱線具合など、絶妙に面白い先生だ。しばしば道化となったり、自虐的であったりしながら、読者を共感に巻き込んでいく。そうかと思えば、高度に知的なゆえに、事象の本質に鋭く切り込んでいき、読み手に適度な刺激を与えつつも、ふわっと雲の上の人レベルで論じるという凄い振り幅をもっている方だと感じた。
 
このようなとてつもない振り幅や引き出しを持った楠木建教授(一橋大学大学院国際企業戦略研究科)は、間違いなくセンスがいい人であり、一般的なビジネスパーソンは、日常生活でこのようなレベルの方と接する機会はまずないといっていいだろう。
 
『戦略読書日記』は、優れた思考センスの持ち主である楠木教授が、ものごとの本質をあぶり出すような本を厳選し、経営や戦略について大切だと考えることを全力全開で主張する本だ。
 
読み手である私たちは、その主張を理解するだけでなく、なぜ著者がその本を紹介したいと思ったのか、なぜそのような考えにたどりついたのかといった思考のプロセスを楽しむことができる。
 
「特殊読書」といった楠木教授独特の造語も豊富に飛び出し、コピーライター的なセンスも学べる。また、特別収録されているロングインタビューでは、まるで編集者の方が子どものように走り回る著者を必死でベビーシッターしているようなやりとりが目に浮かぶようで面白い。普段は内向的だという楠木教授がここまで自由奔放に気持ちよく話すことができていることに、編集者の方の懐と力量の大きさ、深さを感じる。
   
インタビュー記事からは、著者独特の読書観が飛び出す。
読書とは「女好きの人が世界の大女優と取っ替え引っ替えデートしているようなものです。」と言われたかと思えば、「知識を増やしたいんじゃなくて、論理に触れたいんですよね。それがやっぱり僕の読書欲求の中にある。」この振り幅、ギャップがセンスにつながっているのだ。
 
このブログを読まれている方は、すでに読書が好きな方ばかりだろう。
知の巨人の読書術が知りたいとき、立花隆氏や佐藤優氏の著書を手に取ったかもしれない。
 
それだけでは物足りない、“センスの巨人”の読書法が知りたいというのなら、迷わず本書を選んでほしい。社会から「モテる」ための一歩を踏み出せる。
 
 
プレジデント社様より、発売前のサンプル本を献本いただきました。7月11日発売です。アマゾンで、予約ができます。
 
戦略読書日記 〈本質を抉りだす思考のセンス〉

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